ナショナル・プライバシー・テストの結果:日本は世界ワースト1位に転落
ナショナル・プライバシー・テスト(NPT)は、サイバーセキュリティやデジタルプライバシーに対する世界の人々の意識を評価するための国際的な調査です。最新の調査結果により、世界的にサイバーセキュリティ意識が低下している中、日本人はサイバーセキュリティおよびインターネットプライバシーの知識において世界ワースト1位に転落したことが示されました。以下の考察はあなたを驚かせることになるかもしれません。 ナショナル・プライバシー・テストについて ナショナル・プライバシー・テストとは、世界の人々のインターネットセキュリティに関する知識を評価するための国際的な調査です。この調査は、日常のデジタル習慣やプライバシー意識、サイバーセキュリティの脅威にまつわる22の質問で構成されています。 今年は世界181か国から数千人がこの調査に参加し、サイバー衛生度をテストしました。当社はすべての結果を収集し、最も回答の多かった31か国に焦点を絞りました。そして、これらの国々を詳細に分析し、テスト結果の興味深い違いを明らかにしました。 参加国は、その国の参加者の成績に応じたNPTスコアを獲得します。また、当社のデータアナリストが、正答数にもとづき参加者を4つのサイバータイプに分類しました。 今回の結果を深く掘り下げる前に、まずはナショナル・プライバシー・テスト(NPT)スコアの算出方法と、サイバータイプの決定方法について説明しましょう。 NPTスコアの算出方法 NPTスコアは、他の3つのスコア(毎日のデジタルライフ、プライバシー意識、デジタルリスク耐性)の平均値を用いて算出されています。テストは22の質問から成り、各質問の数値は4.5%です。それぞれのカテゴリーにおいて、回答者がより多くの質問に正しく答えるほど、NPTスコアは高くなります。 サイバータイプとは サイバータイプとは、NPTスコアにもとづいた、サイバーセキュリティ知識とスキルのレベルを表す参加者グループです。サイバータイプとそれに対応するNPTスコアは以下の通りです。 サイバーワンダラータイプ(1~24%):NPTスコアが最も低く、オンライン上で安全に過ごすためのデジタルセキュリティやプライバシー知識が十分ではありません。 サイバーツーリストタイプ(25~49%):NPTスコアは平均的で、サイバーワンダラータイプより知識はありますが十分ではありません。ツーリストタイプの平均スコアを見れば、サイバーセキュリティ知識を向上させる必要のあることが分かります。 サイバーアドベンチャータイプ(50~74%):オンラインセキュリティやプライバシーに関する問題について、よく理解できています。スコアも比較的高いタイプです。 サイバースタータイプ(75~100%):最も良いスコアを獲得しています。優れたサイバーセキュリティ意識、知識、スキルをそなえ、オンラインでの安全性が非常に高いタイプです。 テスト結果の示す事実 2023年のナショナル・プライバシー・テストでは、NPTスコアがワースト2位(55%)という結果の通り、日本人はサイバーセキュリティ習慣およびオンラインプライバシーのスキルと知識に関して、他国に遅れをとっているようです。今年はそのランクが韓国と同様に世界最下位に落ちました(50%)。しかし、強力なパスワードを作ったり利用規約を読むといった点にかけては、高得点をマークしています。結果の詳細を掘り下げてみましょう。 重要なポイント ナショナル・プライバシー・テストでは、サイバーセキュリティおよびインターネットプライバシーの知識において、日本は世界ワースト1位という結果が示されました。しかし、日々のデジタルライフに関するスコアは平均以上を獲得しています。主な考察は以下の通りです。 日本の回答者の大多数が強力なパスワードの作成方法を知っており(92%)、これはサイバー犯罪者からアカウントを保護する上で極めて重要なことです。 日本とシンガポールの回答者は、アップデートが提供されたらすぐにアプリを更新することのセキュリティ上の利点(69%)、アプリやオンラインサービスの利用規約を読むことの重要性(45%)を最も理解しています。 日本の回答者の大半は、SNS上で共有することを避けるべき機密データがどれかを理解しています(87%)。自分の今いる場所や個人情報が見ず知らずの人の目に触れる状態になるのはさまざまなリスクをはらむことを理解しているようです。ネットいじめであれネットストーキングであれ、誰が悪意ある目的でそういった情報を利用するか分かりません。 各国の中で日本の回答者のスコアが最も低かったのは、ハッカーから身代金を要求された時の対処法・フィッシング攻撃への対処法(50%)です。銀行から預金引き出しに関する通知メールが突然届いた場合の対処法(51%)、およびAI技術を利用した詐欺の手口(47%)についての意識も世界平均から最も離れています。 AIを仕事で使う際にどのようなプライバシー問題を考慮すべきか分かっている人はわずか5%でした。同様に、パスワードの安全な保管場所を知っているのはわずか19%です。 日本のサイバータイプの特徴 日本人の6%は「サイバーワンダラータイプ」(インターネットのプライバシーやサイバーセキュリティについてほぼ無知)であり、5%は75点から100点を獲得し、知識豊富な「サイバースタータイプ」と認められました。日本人の半数(51%)は、「サイバーアドベンチャータイプ」です。 2023年からの主要な変化 毎年、新しいデジタルテクノロジーが登場します。それに伴い、日々の生活にはさらなる便利さとともに新たなサイバーの脅威ももたらされます。 「プロバイダーが侵害されて、アカウント情報が流出した場合にどうすべきか」という認識が、今回最も向上しました。2023年と比較して、このスコアは10パーセントポイント増加しています。日本人はフィッシングサイトの見分け方や、自宅のWi-Fiネットワークの安全性を確保する方法をよく知っています。 しかし、マイナスの変化もありました。最も悪かったのは、「FacebookがFacebookを利用していない人のデータまで収集できる」ということを、日本の回答者があまり知らないという事実です。そのスコアは昨年より12ポイント低下しました。SNS上での共有を避けるべき機密データ、および、クレジットカード情報をブラウザに保存するリスクを理解している人の数は、それぞれ6ポイント、5ポイント減少しました。 {SHORTCODES.blogRelatedArticles} 世界の結果概要 全体として、プライバシーとサイバーセキュリティに対する意識は世界レベルで低下していることが明らかになりました。今年の総スコアは100点中58点で、昨年の61点を下回りました。 NordVPN最高技術責任者であるマリユス・ブリエディスによると、ネット上の脅威が複雑化し、サイバーセキュリティ・ソリューションの数が増加している状況を鑑みれば、この減少は驚くべきものではないということです。 「技術の進歩に圧倒され、ついていけなくなる人もいるかもしれません。利便性重視のオンラインアプリは日常生活に浸透し、多くの人々が使いやすさをプライバシーよりも優先する結果、意図せずに自らをリスクにさらしてしまうことがあります。世界的にインターネットプライバシーへの意識が低下しているのは懸念すべきことですが、この傾向は、オンラインで個人データを保護するための教育の必要性がますます高まっていることを示しています」と、NordVPN最高技術責任者であるマリユス・ブリエディスは言います。 「今日では、人々は長期的な安全性よりも目先の利益に焦点を当てるようになり、その結果、プライバシー意識の低下につながっている可能性があります。さらに、多くのコンテンツを行き来する中で、重要なセキュリティ警告やプライバシーに関するアドバイスが、情報の波に埋もれてしまうことも少なくありません」と、ブリエディスは述べます。 世界の調査結果 世界の結果の一部を以下に要約します。さらなる考察や国別の比較はナショナル・プライバシー・テストのレポートをご覧ください。 参加者は強力なパスワードの作成に関する質問で最も良い結果を示し、分析対象国全体で平均96%が正解しました。 また、不審なストリーミング・サービスのオファーにもよく対応できています(95%)。 しかし、ISPがメタデータの一部としてどのようなデータを収集しているのかの理解については、13%しか正答できず、最も悪い結果となりました。AIを仕事に使う際に考慮すべきプライバシーの問題を知っている人はさらに少なく、わずか6%でした。テクノロジーがより複雑になり、急速に進化するにつれ、人々がそれについていくことはますます難しくなっています。 同様に、自宅のWi-Fiネットワークを保護する方法を知っている人はわずか16%しかいません。このような知識の欠如は、ネットワークをサイバー攻撃、データ侵害に対して脆弱にし、個人情報を危険にさらす可能性があります。 さらに、2024年の参加者(56%)では、2023年の参加者(69%)と比べ、アプリのアップデートが利用可能になったらすぐに更新することのセキュリティ上の利点を理解している人が減少しました。この落ち込みは昨年以来最大のものです。 サイバータイプを見ると、サイバースターは10人に1人しかいません。 今年は、サイバースターとサイバーアドベンチャーが少ない年でした。繰り返しになりますが、この傾向は、テクノロジーの急速な進歩のせいで、最新のサイバーセキュリティ対策を身に着けることが難しくなっているためかもしれません。 興味深いことに、スコアが最も高く、サイバースターになる可能性も高いのは、30歳から54歳の人たちです。若年層と54歳以上の人々はサイバーセキュリティのスキルを磨きオンラインプライバシー習慣を改善する必要があることを、この結果が示唆しています。 世界的に見ると、サイバーセキュリティとプライバシーの意識が高いのは、シンガポール(NPT=62)、フィンランドとリトアニア(NPT=61)、ドイツとアメリカ(NPT=60)です。 ナショナル・プライバシー・テストで好成績を収める自信がありますか?ナショナル・プライバシー・テストの公式ウェブサイトへアクセスし、調査に答えて何問正解できるか試してみましょう。 調査方法 ナショナル・プライバシー・テストは、誰でも参加できるオープンアクセス調査です。2024年には、181か国から25,567人の回答者が参加しました。本調査は各国を代表するものではありません。なぜなら、年齢や性別についてのクオータ制が設定されていないからです。 当ブログ記事で参照しているレポートは、2024年7月17日までに収集された調査データを使用しています。本レポートとウェブページの結果の差異は、7月17日以降にテストを受けた参加者によるものです。 The post ナショナル・プライバシー・テストの結果:日本は世界ワースト1位に転落 first appeared…
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