最近よく耳にするメタバースは、仕事、娯楽、社会活動を組み合わせた仮想現実体験であり、まさにインターネットの未来といわれています。この最先端のテクノロジーを駆使した画期的な発想に対する人々の熱量は日に日に高まっていますが、このメタバースとは一体どのようなものなのでしょうか?今回はメタバースの仕組みや特徴、メリットなどを詳しく解説していきます。 メタバースとは? メタバースとは、わかりやすくいうとインターネット上に構成された3次元の仮想空間のことで、インターネット接続とVRシステムさえあれば誰でも利用できる世界を創造しています。メタバース(metaverse)という言葉は、超越や高次元を意味する「メタ(meta)」と、宇宙や世界を表す「ユニバース(universe)」をかけ合わせた造語です。 メタバースの仕組みとしては、仮想空間内に3DCGで作られた建物や部屋があり、ユーザーはアバターと呼ばれる自分の分身を使って自由に散策をしたり、他のユーザーと会話したり、共同作業するなど現実世界に限りなく近い状態で活動できます。 このメタバースという概念はいつからあるのでしょうか?一般的にはつい最近登場したと思われがちですが、実はメタバースの語源は今から30年以上前の1992年にアメリカで出版されたニール・スティーヴンスン氏のSF小説「スノウ・クラッシュ」が起源とされています。 2003年にはメタバースを利用した3次元仮想空間「Second Life」がリリースされ、日本でも一時期注目されましたが定着することなく、一過性のブームのまま終わってしまい、その後はオンラインゲームを中心に利用されてきました。 しかし、2021年にSNS大手のFacebookがMeta Platformsに社名を変更したことや、世界的な新型コロナウイルスパンデミックによる外出制限やリモートワークの普及に伴い、オンライン上でのコミュニケーションの需要が高まったことがきっかけで、メタバース市場に参入する企業が続々と増え始めました。また、通信技術の発達に加えて、多くの人々がこれまでの現実世界よりもインターネット上で過ごす時間が増えてきたことも要因のひとつといえます。 現在、メタバースはVRやARなどの仮想空間技術の進歩とともに新たなビジネスや体験に繋がるツールとして注目を集めており、仮想空間上でもオフィスにいるような感覚でコミュニケーションが実現できるとして、活用する企業も増えています。 メタバースはどのような技術を使っているのか? メタバースは現在注目されている技術のひとつであり、さまざまな分野において活用することができますが、果たしてどのような技術を使っているのでしょうか。こちらでは、メタバースを構成する上で使用されている技術について解説します。 VR(Virtual Reality、仮想現実) VRは、実際にはない仮想空間をあたかも現実世界のように体感することを目的とした手段や技術のことです。VRでは視覚と聴覚を使って現実に起こっているかのように錯覚させる体験で、主にゲームをはじめ、自動車学校や新築マンションのシュミレーションなどでよく使用されています。 メタバースとVRの明確な違いは、空間とツールです。メタバースが仮想世界でのコミュニケーションに重点を置いているのに対し、VRは仮想空間での体験そのものを可能とすることが目的で、よりリアルな体験をするために視界を覆うVR専用ゴーグルが必要になります。 VRはメタバースの世界では必要不可欠というわけではありませんが、メタバース空間内ではより臨場感を味わうためのオプションとして使用される場合があります。たとえば、会議の際にVRを使用することで他の人の位置や声の聞こえ方などが反映されるため、より集中できるようになります。 AR(Augmented Reality、拡張現実) ARは、Augmented Realityの略称で、現実世界を立体的に読み取って、仮想的に拡張する技術のことです。具体的には、サングラス型のARグラスを装着したり、スマートフォンのカメラ機能を使用することで現実世界の中にデジタルな映像や文字情報が重ね合わせて表示した世界を体験することができ、それらのデジタル情報を触って操作することもできます。このARはエンターテインメント関連をはじめ、教育や営業支援、製造業など幅広い分野で活用されています。 また、ARは主にマーカー型(または画像認識型)、平面認識型、位置情報型という3つの種類があり、目的の動作によってそれぞれ分かれています。たとえば、マーカー型ARは画像などを読み込んでARコンテンツを呼び出す場合に使用され、平面認識型ARは空間を認識してARコンテンツを呼び出します。位置情報型ARは、GPSなどの位置情報を認識することでARコンテンツを呼び出すことが可能です。 メタバースの世界でもこのAR技術が活用されている最も代表的な例は世界的に大人気のポケモンGOです。ARはあくまでも現実世界を軸にしているため、スマートフォンのカメラ機能を使って表示されるポケモンは1つしか存在しないのがこのARメタバースの特徴といえます。その他にもGoogleマップ、ECサイトでのヴァーチャル試着などにもこれらのAR技術が使用されています。 MR(Mixed Reality、複合現実) MRは、Mixed Realityの略称で日本語では「複合現実」と訳され、現実世界に仮想世界の映像や情報を投影するというARと似た技術のことです。ARと異なるのは、仮想のものに直接触れて操作したり、複数人で共有できる点です。MRゴーグルを装着することで、新しい自動車のドアを開けて車内の様子を確認するなど、これまで本来実物を用いてしか提供できなかった分野での体験をすることができたり、多くの分野での業務の効率化に活用されています。 上記で紹介したVR、AR、MRのようなメタバース空間を実現する技術はXR技術(クロスリアリティ)と呼ばれており、主にデジタル映像の世界と現実世界の位置づけに合わせて3つに分類されます。今のところ、メタバースとのまだ明確な繋がりはあまりありませんが、今後はこれらXR技術とメタバースが連携することで、より進化した体験ができる可能性は十分にあるでしょう。 IoT(Internet of Things、モノのインターネット) IoTとは、さまざまなモノがインターネットに接続されたことで相互に情報交換を行なう仕組みのことで、そのようなIoT製品はスマート家電とも呼ばれています。具体的には、パソコンなどの電子機器をはじめ、テレビやエアコンなどの家電製品、自宅の防犯カメラや鍵、自動車など、現在私達の生活の中でIoT技術を使用しているものは多岐にわたります。これらのIoT製品はワイヤレスネットワークを介して接続されるため、スマホなどのスマートデバイスを利用して遠隔で操作が可能です。 メタバースは、オンライン上の仮想空間と物理的な世界の統合として想定されているため、IoTはARのような物理的なものと仮想的なものを融合させる役割を果たす可能性を秘めています。 メタバースにおいてIoTの明確な用途のひとつは、メタバースユーザーを物理的環境でより安全にすることができる点です。通常、メタバース体験に参加している間はVRヘッドセットを装着しているために仮想世界に没頭しやすく、物理的に周囲の状況を意識しなくなります。しかし、スマートドアベルやセキュリティシステム、さらにはサーモスタットなどのIoT対応デバイスを使用している場合は、現実世界で注意すべき問題をメタバースにメッセージを送信することで、ユーザーに警告することが可能です。 ブロックチェーン ブロックチェーンもまた、公の場ではしばしばメタバースと結びつけられる技術です。ブロックチェーンとは、分散型の台帳やデータベースのことでデータを削除したり、変更することが非常に困難なので暗号通貨やNFTに使用されています。 なかにはメタバースにおける財産所有権の基盤として利用できるのではという声もあがっています。たとえば、メタバースで自分のアバターが着ている服をブロックチェーン上に保存し、実質的にはNFTではありますが、自分だけが所有権を持つ唯一無二の資産にすることが可能です。 {SHORTCODES.blogRelatedArticles} メタバースはどのような発想から生まれたのか? 以下では、メタバースがどのような発想から生まれたのかについて解説します。 前述した通り、メタバースは以前から存在していましたが、再度注目を集め始めたのは2021年頃とわりと最近です。この時期は世界的な新型コロナウイルスパンデミックの影響でオンライン上でのリモートコミュニケーションの需要が高まり、リモートワークが普及していました。ちょうどその頃にMeta社やApple社などの大手企業がメタバース事業を本格的にはじめ、その結果、通信技術や仮想空間に関連する技術が大幅な発展を遂げ、デバイスも低価格化したことで若年層を中心にユーザー数が増加しました。 通常、メタバースでは、主に個々の場所やゲーム内の空間を指す仮想空間と違い、複数の仮想空間において各ユーザーがリアルな社会と同様に、オンラインショッピングやNFTの売買・利用、ゲーム・エンタメサービスの利用などの経済活動を行なったり、他ユーザーとのコミュニケーションしたり、イベントへの参加など社交活動が行われていたり、場合によってはメタバース内で仕事をしてお金を稼ぐこともできます。 私達はコロナウイルスパンデミックによって半ば強制的にオンライン上でのコミュニケーションを利用せざるを得ない状況になりましたが、今ではほとんどの人が抵抗感なくスムーズにを利用するようになっています。加えて、非常に多くの人がSNSを利用していることも、メタバースの世界での活動や他ユーザーとのコミュニケーションに対しても何も違和感を持たずに利用できている理由といえます。 これがもし、十数年前だったら到底受け入れられないでしょうが、オンライン上での交流に対して徐々に人々の意識が変化したことが、メタバースが受け入れられていることにも繋がっているのでしょう。 メタバースの活用事例 メタバースの主な活用事例を以下にまとめました。 エンターテイメント メタバースを使用して何ができるかというと、まず代表的な活用事例がmetaverseエンターテインメントです。その中でもメタバースゲームは、三次元の仮想空間でリアリティ感のある中で没入してプレイできたり、大人数のユーザーが同時に参加可能です。ゲームによっては、ゲーム内のバーチャルマーケットでキャラクターやアイテムをNFTとして売買できたり、ゲーム空間内での広告を掲載したり、販売できる点なども魅力です。 また、メタバースは音楽ライブなどの没入型エンターテインメント体験の舞台として機能しており、メタバースの世界の中でイベントに参加することができます。このようにmetaverseエンターテインメントは、地理的な障壁がなくなることで、物理的にその場にいなくてもコンサートやスポーツイベントで没入型のバーチャル体験ができます。 ビジネス メタバースはビジネスにおいても活用されています。今や、リモートワークやZOOMミーティングが一般的ですが、なかには没入型のVR空間でバーチャルオフィスやバーチャル会議室でアバターを使って物理的な会議室にいるのと同じように会議を行なう企業も存在しています。 また、マンションや住宅などの不動産業界は、メタバースと相性が良い業界として知られています。住宅展示場にあるモデルハウスやショールームを設置する際にメタバースを使用することでユーザーに実際に住んだ場合を想定したリアリティを体験してもらうことができます。 さらにメタバースは、VRやARシステムを基盤としているため、学校の授業など教育現場やトレーニングにも最適なツールです。たとえば、学生が物理的に大学のキャンパスに通えない場合にメタバースを使用することで授業に参加することができます。特に最近は新型コロナウイルスパンデミックの影響もあり、リモート授業の需要が高まっています。 その他にも最近では、オンライン上での婚活イベントや交流会をはじめ、各役所での相談・申請手続きなどにもメタバースは有効的な手段として活用されています。 メタバースはビジネスにどう役立つのか?…
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